採用企業向け
日本特有の採用課題とは
2. 「新卒一括採用」という慣習
2024-04-24
日本では、諸外国と比較して転職に対して慎重な考えを持つ人が多い傾向にあります。その背景の一つにあげられるのが、日本企業の間で長く根付いてきた新卒一括採用という慣習です。
海外では一般的に就業経験のない新卒学生は経験者より就職が困難と言われますが、日本では、「新卒至上主義」という言葉が存在するほど、過去多くの企業が新卒一括採用を採用活動の主軸に据えてきました。
その理由として、中途採用よりも容易に大量採用できる、研修が一度に効率よく実施できる、また、新卒社員は自社の社風になじませやすいなどの利点があげられます。終身雇用制度のもと多くの同期入社者と定年退職まで一緒に働くという前提があったため、帰属意識も高めやすく、未経験者をゼロから育成しても投資効果は十分でした。日本的経営の三種の神器といわれた長期雇用、年功序列、企業内組合とともに、戦後の日本の高度成長を支える大きな要因の一つだったのです。
また、新卒で採用され研修を受けた後は、企業に提示された辞令に基づいて異動しながら経験を積み、個人のキャリアを自分で形成する必要がないまま定年退職することが一般的でした。
特にこのような環境にあった20年ほど前までは、転職者は企業から「経験豊富」よりも「無責任」「我慢が足りない」と捉えられる傾向が強く、労働者にとって転職するということはその後中途入社する企業での出世しづらさも含め、様々な不安を感じさせるものでした。
現在においても、短期での転職回数が多い求職者は海外と比較するとネガティブに捉えられる傾向が強いと言えます。
しかし、近年では日本経済の低迷などの理由から終身雇用制度の導入を見直す企業が増え、日本でもキャリア形成のための転職を前向きにとらえる傾向が高まっています。当社の調査によると、入社直後に転職サイト「doda」に登録した新社会人の件数は、2011年から2023年にかけて約30倍にまで伸長し¹、労働者の意識も変化しています。
ただし、2021年時点での日本の平均勤続年数は12.3年(アメリカ:4.1年、イギリス:7.8年)²と、諸外国よりも長く、仮に就業期間を40年間とした場合、日本人の生涯経験社数は3.25社で、アメリカの9.75社、イギリスの5.12社と比べて、依然として人材の流動性は低いのが現状です。
さらに、前述のレポート「『英語力』に対する考え方の違い」にもある通り、語学堪能な人材は競争率が高く、転職者からの応募を待つ「受け身」の採用活動では、採用範囲が限定されてしまう可能性があります。日本で採用を成功させるには、保守的な思考を持つ日本の転職潜在層の指向性や不安を理解した上で、適切にアプローチしていくことが重要です。
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